職業奉仕月間に因んで
10月9日卓話要旨
地区職業奉仕室室長 石鍋 元章氏
10月は職業奉仕月間ということで、RIらしい職業奉仕の目的が発表されました。RIは、会員の事業所の見学会、職業活動表彰(優良な警察官に対する表彰やボランティア活動に対する表彰)、職業相談(青少年への職業情報職業相談)、職業指導(中小企業の人材育成)、ボランティア活動の推進等クラブで行う活動を挙げていますが、日本のロータリーでは、会員一人一人の心のありようとしてとらえているので、RIが言っていることには少々違和感を感じています。
さて、そもそもなぜ職業奉仕が生まれたかということですが、ポール・ハリスが1905年に親睦団体としてロータリークラブを作ったことはご存じのとおりです。このとき、設立の目的として、親睦のほかに互恵取引がありました。互恵取引とは会員同士で行う取引のことですが、ロータリークラブの会員になれば利益が得られるということで、会員は爆発的に増えました。
弁護士のドナルド・カーターがポール・ハリスに入会を勧められたとき、ロータリーには規約が二つしかありませんでした。第一条は互恵取引に関する条項で、第二条は社交クラブとして親睦に必要な条項でしたが、カーターがそれだけでは不十分であることを指摘したことで、第三条が加わりました。それが奉仕の最初の概念であったわけです。
創立から2年後、会長になったポール・ハリスは会員増強とともに、他の都市でロータリークラブを立ち上げることに尽力しました。そしてさらに、世のため人のために尽くす道を開こうとしましたが、当時の会員の大半は互恵取引を目的に入っていたので、シカゴクラブは親睦互恵派と奉仕を旨とする派に分かれてしまったのです。
そんな中で新たに入会してきたシェルドンによって、職業奉仕は大きく発展していきます。1910年に全米の1500人のロータリアンが初めてシカゴに集いましたが、そのとき職業倫理委員会が発足し、シェルドンは委員長に就任します。彼は就任演説で、「仲間内のために奉仕する者が、最も多く報われる」というモットーを提案しますが、仲間内という言葉は限定的であるため、その後除かれました。彼はまた、「サービスこそが、企業の永続的な発展と成功を保証する唯一の方法である」「ロータリアンの企業が、職業奉仕の理念に基づいて正しい事業経営を行い、事業の継続的発展を実証すれば、業界全体の職業倫理は高揚する」と述べ、多くの人がこれに共鳴しました。そして翌年開催された第2回全米ロータリークラブ連合大会において、「最も奉仕する者、最も多く報われる」という彼の言葉は、第一ターゲットとして承認されたのです。
その後、シェルドンが言う職業奉仕なるものの考え方が確立してくるに従って、それまで盛んに行われていた互恵取引は次第になくなり、ロータリアンとして品位のある職業奉仕が求められる時代に入っていきました。1927年になってようやく四大奉仕が確立されて、RIによって職業奉仕という言葉が定義付けられますが、そこではイギリス風にvocation(天職)が使われていました。一方、シェルドンはvocationは使わず、アメリカ流にoccupation(職業)やprofitという言葉を使っていたのですが、ヨーロッパの人たちから「profitという言葉は、おのれの利益をイメージするのでふさわしくない」という声が強くなったために、それまで第二ターゲットであった「超我の奉仕」が第一ターゲットになり、シェルドンのターゲットは格下げされてしまいます。
以後、RIの中で職業奉仕は蚊帳の外に置かれてしまい、それは1987年にRIが職業奉仕委員会を復活させるまで続きました。40年ぶりに復活した職業奉仕には、クラブにおける活動として工場見学等が含まれていましたが、私は本来職業奉仕は一人一人の職業に対する倫理観を問うものなので、ロータリアンが個人で行うべきであると考えています。クラブとしては、職業奉仕の真髄を啓発していくことが最も重要であるというのが、私の考えです。
昨今、残念なことに、日本では企業経営者の倫理観が非常に薄れてきていますが、佐藤千壽さんがおっしゃるには、職業奉仕は売り手よし、買い手よし、世間よしだから、これら三つを覚えておけばよいとのことですので、あまり難しく考えずに当たり前のことをやっていこうと考えているところです。
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