「裁判員制度について」
11月27日卓話要旨
東京地方裁判所判事 平出 喜一氏、丸山 哲巳氏
裁判員候補者名簿の発送が始まりますので、裁判員制度に対する関心がより一層高まってくるのではないかと思われます。裁判員制度では、3名の裁判官と6名の裁判員によって審理が行われ、6名の裁判員は選挙人名簿から無作為に抽出された裁判員候補者の中から選ばれます。今回発送されるのは、「あなたは裁判員候補者の名簿に載りましたよ」というお知らせです。確率は300人に1人程度ですが、その人たちが即裁判員に選ばれるのではなく、さまざまなプロセスを経て選ばれます。
まずは来年裁判員の候補となる人が選挙人名簿から無作為に選ばれて名簿に掲載され、該当者には年に一度「来年、裁判員に選ばれる可能性がありますよ」ということを通知します。その際配布される資料に調査票が入っており、私どもや弁護士といった法曹資格者のように裁判員になれない人は、印を付けて送り返せば、その時点で候補者名簿から削除されます。また、来年に限って言えば、現実の裁判が始まるのは夏以降になりますので、名簿に載ったからといってすぐに裁判に呼ばれるわけではありません。
具体的に申し上げると、例えば9月1日から2日間なり3日間審理を行う場合、その6週間前まで,つまり7月半ばころまでに呼出状が届きます。これは名簿の中からさらに一つの事件について、50~100名を選んで送らせていただくものですが、受け取った方が指定された日にどうしても外せない用事がある場合は、呼出状とともにお送りする質問票にその旨を書いて返送していただきます。なお,質問票の回答から辞退が認められることが明らかな方については,この段階で呼び出しそのものが取り消されることになります。それ以外の方は実際に9月1日に裁判所に来ていただき、そこでさらに辞退の申し立て等が行われ、残った人たちの中から抽選で6人を選びます。その後選任手続きを経て、裁判員が決まり、この時点で初めて裁判員6人と裁判官3人が揃い、審理が開始されます。
裁判員になられた方には、裁判が始まる前に「公平誠実に裁判員の職務を行う」という宣誓をした上で、裁判に立ち会って審理を見て聞き、裁判官と共に議論して有罪か無罪かを決め、有罪である場合には刑を決める、判決の宣告に立ち会うということをしていただきます。
刑事裁判は、検察官が提出する起訴状に書かれていることをその人が本当にしたかどうかを決める場になりますが,今まではプロだけでそれをやっていたので、法律用語が飛び交い、国民の皆様には分かりにくい状況にあったと思います。しかし、裁判員裁判では法律の専門家ではない方に判断していただかなければなりませんし、裁判員裁判は、皆さんの一般の感覚を我々がやっている裁判に取り入れようという制度ですから、裁判員に選ばれたとしても、何も準備をしないで参加できるように、目で見て耳で聞いて分かりやすい審理ができるよう,我々も努力しているところです。皆様には、その場で見て聞いたことから判断して、意見を言っていただきたいと思います。
それから、「裁判は時間がかかる」と思われがちですが、7割程度の事件は3日以内に終えられるように争点を絞ってやっていくつもりです。しかも、3日間ずっと缶詰になるのではなく、朝は10時ぐらいに開始して夕方の5時には終わり、昼休みも1時間半ほど取っていただきます。帰宅されてからは、自由に過ごしていただいて結構ですし,法廷で見たことをご家族に話していただいても結構です。
当たり前の話ですが、裁判官も迷うことはたくさんあります。いろいろ議論する中で判決に至るわけですから、評議の場では、裁判員の皆様には、ぜひ思ったことや感じたことを率直に言っていただきたいと思います。そうすることで、国民の皆様のご意見を取り入れることができ、我々の判断はより強固になるのです。我々としても、今後、裁判員の皆様が自由に意見を述べられるような雰囲気を作る努力をしてまいりますので、どうかこの裁判員制度にご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
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