目からウロコの事業継続と相続対策
3月11日卓話要旨
有限会社小山企画 代表取締役 北尻 克人氏
日本では、職業の自由が憲法で保障されていますから、私たちはどんな職業に就いても構いません。数多くある職業の中から選ぶわけですが、もしお金儲けだけを基準に選ぶのなら、仕事をどんどん替えなければならないでしょう。しかし、皆様を含め、事業をなさっている方の多くは、それぞれ使命感を持って仕事をしておられるので、たとえ苦しくても仕事を替えることなく、続けておられるのです。つまり事業継承というのは、単に息子に社長を継がせるのではなく、しっかり創業者の魂を植え込んでいくことを言うのです。
しかし現実には、多くの中小企業が相続税を納めることができずに廃業しています。廃業すると、そこで理念の継承は止まってしまうので、これは何としても避けなければいけません。法人税に関しては、節税対策を取っておられる事業主さんが多いですが、儲けの中から支払うのが法人税ですから、それが払えなくてつぶれる会社はありません。問題は相続税なのです。儲ける力を持った人が亡くなったときに納めなければならないということに加えて、利益の蓄積が自社株を上げているので、相続税の評価額は知らない間にどんどん上がっていっているのです。ですから皆様には、本気で相続税対策をお考えになることをお勧めします。
相続税対策のポイントは、財産を相続税がかからない非課税財産に置き換えること、相続が起こる前に贈与によって移転すること、財産の評価を下げることの三つです。相続税がどのくらいになるのか、計算している人がおられますが、法律は変わりますし、資産も変わりますから、そういうことに時間を割くのではなく、今できること、すべきことに時間を割くべきです。
最も優先すべきは非課税財産を作ることですが、三つある非課税財産のうち、一番のお勧めは生命保険です。これは500万円×法定相続人の数だけ非課税になります。生命保険は、相続税を払わなければならないときに得られる貴重な現金になりますから、その意味でも相続向きの金融商品です。死亡退職金も500万円×法定相続人の数が非税になります。三つ目は弔慰金で、月給×6カ月(業務上死亡の場合は36カ月)は会社から受け取っても非課税です。つまり、お父様が亡くなられたときに会社から受け取るお金ですから、今会社にあるお金を生命保険会社に預けて、亡くなられたとき、そのお金は死亡保険金として増えますが、それを会社から遺族が受け取ることにすると、お金が増える上に、非課税の財産ができるのです。
次に贈与についてですが、贈与で最も有効な額は110万円ではなくて、310万円です。そこまでは税率が6.5%と低いからですが、その際必要なのが、必ず贈与契約書を作っておくことです。贈与税の申告書は、贈与の証明にはなりません。また、相続開始から3年以内に相続人に対して行った贈与は相続財産に含まれますが、お孫さんは相続人ではありませんので、「いよいよ危ないな」と思われた方は、お孫さんにどうぞ。それをもらったお孫さんは生命保険会社に預けて、お父さんが亡くなったときにお金をドーンと増やすのです。また、「子供たちの間でもめそうだな」と思われる場合にも、生命保険は有効です。分割協議の対象から外れて、自分が指定した受取人にじかに財産が行きますし、遺留分の対象からも外れますから、使い方次第で大きなメリットがあります。
ただし、生命保険がすべて有効というわけではなく、使ってはいけないものもあります。ドル建ての保険、定期保険、養老保険、医療保険、年金保険等は、相続税がかかる方には向いていません。また、会社契約で1500万円以上の保険に入らない、受取人を妻にしない、契約者(保険料支払者)を夫(父、社長)にしない、退職金積立の生命保険に入らない、後継者に生命保険をかけない、といった点に注意しなければなりません。
今回は「最も効果的な生命保険は何か」という部分までお話しできませんでしたが、機会がありましたら種明かしをしたいと思いますので、またお声を掛けていただければ幸いです。
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