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2009年4月15日 (水)

「混迷政局の行方」

3月26日卓話要旨
政治評論家 浅川 博忠氏

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 元号が平成になってから現在に至るまでに、我々は実に14人の総理大臣を迎えています。その間、小泉氏を除く総理の平均在任期間は1年2カ月ほどですから、サミットのたびごとに「How do you do?」と初対面の挨拶を交わしていることになります。それに伴って、国際社会における日本の地位は下落し続け、有楽町にある外国人記者クラブには、本社採用の記者がほとんど存在しなくなりました。東京発のニュースがその価値を失った今、本社採用のバリバリの記者たちは北京に配置されているのです。ちなみに、私はこの総理が次々替わる政権をホールインワン政権(パットをしない=パッとしない)と名付けています。
 安倍さん、福田さんが職場放棄をした後、比較的国民的人気の高い麻生さんが総理大臣に就任しましたが、自ら内閣の支持率を下げるような言動を繰り返したために、内閣支持率は下がる一方でした。与党の中から麻生降ろしの機運が高まり、「麻生さんも終わりかな」と思っていたところ、3月初めに民主党の小沢代表の会計責任者を務めていた公設秘書が逮捕されたのです。これについて、小沢さんは最初の記者会見でこそ続投を宣言しましたが、「潔白だ」と言い切ることができない状態にあったことから、すぐに「続投はけしからん」という批判が続出しました。
 小沢さんには強面のイメージがありますが、実は小心者で繊細な神経を併せ持っています。父親の死去に伴い、27歳で詰襟を着たまま国会議員になった彼は、その後もずっと背伸びをしなければならず、強面を演じてきたわけですが、強面と小心者のギャップは年を経るとともに大きくなり、次第に耐え難くなってきたようです。そういう意味では、外からの敵には強くても、身内の反乱に対しては極めて弱いですから、意外に早く退陣するのではないかと思っています。そこで、次の民主党代表は誰かということですが、小選挙区制の選挙では人気が一番の要素になりますから、まずは管さん、鳩山さん、前原さん、岡田さんの名前が挙がります。さらに目前に選挙を控えていることを考慮すると、最も修羅場を経験している鳩山さんを代表に据えて、岡田さんを幹事長にするというのが、大半の民主党議員が考えているところのようです。
 一方の麻生さんは、いまだにおじいさんコンプレックスから脱し切れないようで、こちらも国のトップを担うリーダーとしてはどうかと思われますが、前門の狼である小沢さんがこけて、後門の虎である小泉さんがいなくなった今、自民党議員に次の総理候補について尋ねても、すぐには名前が出てきません。そんな中、小沢さんが沈没したおかげで、麻生さんは自身で解散のタイミングを決定できるまでになりました。現在麻生さんは、任期満了まで総理を務め、その後総裁選に勝って3年間総理の座に座る「4年総理」を視野に入れ始めています。
 ただし、それをよしとしないのが、中曽根さんと日本テレビの氏家さんと渡邉恒雄さんです。彼らは、第一楽章で総選挙を行い、第二楽章で大連立を実現し、第三楽章で政界再編を行い、第四楽章で中選挙区制を実施して30名の定数削減を行うという、壮大な構想を描いています。中曽根さんは、側近中の側近である与謝野さんと民主党の小沢さんで大連立を実現しようとしましたが、小沢さんがこけてしまった今は、鳩山兄弟に目を付けています。9月の選挙後、どちらが政権を取ってもすぐに行き詰まるでしょうから、そうなったときにはこの兄弟を主役に、大連立が誕生する可能性は非常に高いです。特に衆参がねじれ現象を起こしているために、大切な法案の成立がどんどん遅れて国益を損なっています。憲法改正や消費税の問題や道州制の問題を討議するにしても、大連立であればスムーズに進み、日本に対する評価も変わるかもしれません。そういう意味でも、秋以降は政界再編の動きが一気に加速してくるだろうと思われます。
 私は「電力の鬼」と呼ばれた松永安左エ門の最後の弟子ですが、松永さんは池田内閣の生みの親であったことから、常に池田総理に対して厳しいことを言っておられました。皆様もお立場上、さまざまな議員の方と交流されることが多いと思いますが、池田総理を厳しくしかりつけた松永安左エ門の役を担っていただいて、この混迷した政局を脱却するためにお力添えいただきますよう、お願い申し上げる次第です。

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「2009年 日本経済の行方」

3月19日卓話要旨
財部 誠一氏


1 今、マスコミは盛んに「100年に一度の経済危機」と報道していますが本当でしょうか。この100年間で一番厳しかった1929~1932年当時、アメリカのGDPは44%も収縮しましたが、今回は最悪とされている今年が-1.8%で、翌年はプラスに転じるという程度です。冷静な見方が必要です。
 アメリカ一強の時代が終わり、多極化に向かう中で、世界中の国は覇権争いを始めています。リーマンショック直後に開かれたG20で、サルコジ大統領は「基軸通貨としてのドルの役割は終わった。次はユーロだ」と世界に向けてアピールしました。中国も、「57兆円の公共投資をやって世界経済に貢献する」と言って力を見せつけています。日本だけが、世界中が覇権争いをしている中で、「アメリカ経済が駄目なのだから、日本も駄目だ」と、敗北主義的な発言を繰り返しているのは問題です。
 さて、今世界で起こっている問題の本質は、アメリカとヨーロッパのバブル崩壊現象です。日本の自動車メーカーの売上が30%落ちたのは、欧米で発生している信用収縮が原因です。圧倒的な消費力を持って、世界を支配してきたアメリカは住宅ローンやクレジットカードの規制を緩くしてきましたが、今は金融が経営危機に陥っている為、ローンが簡単に下りなくなってしまいました。その為、突然消費が落ちてしまったのです。
 消費の冷え込みは日本でも見られますが、実は日本の消費の冷え込みには全く根拠がありません。日本の自動車メーカー各社の決算は、欧米の需要が突然30%も落ちたことでひどい内容になりましたが、産業全体が冷え込んでいるのではなく、中には円高でもうけている企業もあるはずです。しかし、マスコミが常に景気の悪い事象ばかり取り上げるので、消費は根拠もなく冷え込んできました。確かに派遣切りや貸し渋りなどの事実もありますが、日本国内で売上が30%も落ちる合理的な理由はなく、実態を越えた異常な消費の委縮が起こっているのです。
 今回自動車メーカーは大規模な派遣切りを行いましたが、需要に合わせて生産を落として在庫を吐き出すという、単純な生産調整を行っただけでした。メディアも政治家もメーカー批判を繰り返していますが、彼らは当然のことをしています。今回トヨタ自動車の決算は最悪になりますが、私はトヨタ自動車の赤字は全く理解できません。あんなに利益を出していたのに、売上が3割落ちたからといって4000億円の赤字になるでしょうか。今後発生する可能性のある損失を前倒しで積み上げて、必要以上の額を計上しているとしか思えません。日立製作所にしても、7000億円の赤字の合理的な理由は見当たりません。上場企業の皆さんは今、「100年に一度の経済危機」を免罪符としながら、バブル崩壊時、損失の先送りで痛い目にあった反省として、全く逆のことをしているのだと思います。このように、日本の大手企業はこの動乱期にいろいろなことを考えてやっているのですが、メディアは何も考えていないかのように伝えています。今の日本のマスコミ報道はでたらめばかりです。ですから、私は日本のテレビや新聞の情報を慎重に見ています。
 中国についてもいろいろ言われていますが、今の中国の政府には、世界屈指の優秀な人たちが集まっていて、政治決断を下すのがとても速いです。胡錦濤主席は、13億人の中から選ばれただけあって優秀です。中国経済を語る際、沿岸部と内陸部の格差がよく言われていますが、内陸部の開発について、彼らは克明に計算して実行しています。例えば、来年5月には上海、南京、杭州を結ぶ新幹線が完成する予定が、こうしたインフラ整備で失業した農民工に対し900万人生み出すといいます。このように中国の発展は目覚ましく、まさに中華思想を具現化する3000年に一度のチャンスが巡ってきたと言ってよいでしょう。また、ASEANも実体経済は全く問題なく、ベトナムもタイもインドネシアも将来性は非常に高いです。欧米が1~2年苦しんでいる中で、世界を牽引していくのは中国であり、東アジアの国々なのです。日本も、これらの国の需要を取り込んでいくぐらいのつもりで考えていただきたいところです。

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