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2017年10月16日 (月)

「IoTとは何か-我々の生活をどう変えるか」

9月21日卓話要旨
清水 宣夫会員((株)システムコミュニケーションズ 相談役)
(石澤 長―郎会員紹介)
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 IoT(モノがインターネットにつながること)の発達とともに、私たちの生活は大きく変わってきています。中でもアマゾンボタンは、IoTの最も原始的な形として脚光を浴びています。ボタンの前面には洗剤などの商品名が書かれていて、裏面はマグネットで冷蔵庫などに貼れるようになっています。洗剤などが切れたときにボタンを押せば、オーダーがアマゾン本社に通信され、宅配してくれる仕組みで、店舗へ買い物に行かなくても済むようになります。
 車の世界も大きく変わっていきます。今のワイパーは雨の降り方によって速さを調節できますが、その速さのデータをセンターに集めることで、この地域ではどれぐらいの雨が降っているかという正確なデータを得ることができます。また、道路の混雑状況も、車の速度によって正確に把握されるようになります。今年秋に発売されるレクサスには、事故を起こした衝撃で自動的に救急センターに電話を入れられる技術が搭載されます。
 メンテナンスに関しても、車の走行量や走行状況、ブレーキの摩耗、エンジンの具合、燃料の消費状態のデータを整備工場に送ることで、1台ごとにAI(人工知能)で分析し、整備が必要かどうかといった車の状況を所有者に送ることができます。すると、車にそうしたシステムが全てくっついているので、ディーラー以外の整備工場のほとんどは10年以内につぶれるかもしれません。世の中は進歩すればするほど、仕事がなくなって格差が広がり、二極分化していくのではないでしょうか。
 さらに、走行状況のデータが全て損保会社に入っていくようになれば、保険料は個別に決められることになるでしょう。ですから、ビッグデータの解析をできない損保会社はつぶれると思います。また、個別の運転状況が車内外の搭載カメラによって全て把握されるので、警察の事故処理の正確性も向上し、事故歴のある人や高齢者への運転免許の交付も画期的に変わると思います。このように車の世界は激変していくので、トヨタなど世界の主要メーカーは、自動運転は一つの方向にすぎず、コネクテッドカー(つながる車)の時代になると見ています。
 それとともにカーシェアリングが普及していくでしょう。アメリカのUberという会社が運転代行で急成長していますが、日本では運転代行者の運転技術が保証できないことや事故を起こしたときの責任の所在がはっきりしないことから、政府の許可が下りていません。しかし、日本でこのようなサービスが導入されれば、不動産市場に大きな変化が起こるかもしれません。アメリカでは、Uberによって安価で車を借りられるため、郊外でも良い物件には良い値段が付いています。
 ヘルスケアの分野では、トイレに付けた機器が便や尿を自動的に分析し、そのデータを医者に直接送るものも試作されています。また、家庭で血液を採取・分析して、そのデータを医者に送る機械も実用化寸前です。JINSという会社は、眼鏡の中にドライアイを防ぐための水のタンクを仕込み、自然に目の中に蒸気を出す仕組みを作り、急成長しています。また、ランニングやウオーキングなどで使うリストウオッチ型メディカルデータ送信機も作られています。
 住宅の分野では、スマートフォンと鍵を連動する仕組みが出てきています。例えば子どもがスマホで親に帰宅したことを知らせれば、親がスマホで鍵を開けることができます。鍵を子どもに預ける必要もなくなり、鍵を忘れることもありません。
 ファッション業界は通販が全盛ですが、通販では品番やサイズ、色などのデータが入った5~10円のシールを商品に貼ることで、在庫管理の必要がなくなります。エアコンも日照量に合わせて調節してくれるものが出ていますし、お風呂もスマホで準備できるようになります。このように家電が全てIoT化されると、家電は別個にあるのではなく、家庭内に設置されたコントロールセンターが総合的に管理するようになります。
 IoTの課題としては、偽物やなりすましの防止があります。本人認証には指紋や虹彩が使われてきましたが、指紋用フィルムやカラーコンタクトの登場で駄目になり、現在は手の静脈認証が考えられています。アメリカでは究極の手段として人間にマイクロチップを埋め込む方法が考えられています。そうなれば100%完全な管理社会の到来となり、自由度はゼロになってしまいますが、もしかしたらそういった方向に進んでいくかもしれません。

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