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2018年9月11日 (火)

「老舗が挑戦する新ブランドホテル」

7月12日卓話要旨
(株)龍名館 専務取締役 濱田 裕章氏
(浜田 章男会員紹介)
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  当社は今年12月、新橋6丁目に3店舗目となるホテルを開業する予定です。最寄り駅は地下鉄御成門駅です。龍名館という旅館は、東京駅の近くを含めて2店舗あるのですが、このホテルは龍名館ではなく、「ホテル1899東京」という新しいものにしました。
 龍名館は1899年(明治32年)に創業し、来年で120周年を迎えます。神田駿河台にお茶の水本店があり、2014年に改装しました。改装前は6畳1間で、窓辺に洋間があるという「ザ・旅館」でしたが、改装後は9室だけ、1泊5万~6万円の価格で販売していて、宿泊客の9割ほどを外国人が占めています。
 一方、「1899」はお茶をテーマにしていて、1階では土産物としてお茶を販売します。飲食スペースでは中央にショーケースがあります。当社は会席料理を提供していますが、今回はカジュアルな業態に挑戦するため、デリカテッセン形式とし、ショーケースで注文し、自席に持っていって食べる形にしています。客室は、本店と比べてそれほどゴージャスではなく、1室20~30m2を中心とした広さです。全室ダブルベッドで、海外の方を中心にご利用いただけると考えています。
 当社の旅館はいずれも100年以上前にできたので、100年ぶりに新規のホテルを造ることになります。新ホテルを開業するに当たり、どんなホテルにしようかと考えたのですが、前提条件として龍名館はお茶の水と東京駅にあるので、3棟目の龍名館を造るのか、別のものにするのかを検討しました。その結果、「龍名館」という名前を使わないことにしました。なぜなら、龍名館は隠れ家的なポジショニングが価値を持っているからです。新ホテルは新橋にできるので、既存の2軒と離れているように見えますが、この距離感でホテルを有するとチェーンホテルという印象があります。龍名館として評価していただいているポイントとずれてくると考え、2軒の旅館を守るために龍名館の名前を使わないことにしたのです。
 次に、新しいブランドを考えるか、既存のブランドを使うかを考えました。当社には「1899」というお茶をテーマにした創作和食店があり、そのブランドに可能性があると考え、ホテルにしました。「1899」は2014年の改装時、新規に立ち上げた店舗で、例えば料理に抹茶を混ぜたり、だしにお茶を使ったり、今思えば少し軽い気持ちで始めた業態でした。しかし、お茶には茶道という文化的側面もあれば、産地や農家によってこだわりがあります。そこで、お茶に対する考え方を改めて整理してみて、ブランドをしっかり作っていくことに挑戦することにしました。
 ホテルを選ぶ基準として、目的地に近いから、広いから、安いからという側面もありますが、あのホテルは良いから泊まろうというような目的がないと、ホテルとして生き残っていくことは難しいと思います。ですので、なぜ私たちはお茶を扱っているのかということを、社内でブレーンストーミング(集団思考)を行い、約1年かけて言葉とビジュアルで整理しました。そして、「お茶と共に過ごす、ゆるやかな時間の経験を通して、人々の心の満足度と満足の持続を提供すること」をホテル・レストランが共通して大切にすることにし、コンセプトに合ったロゴマークや商材写真、サインなどに統一するためのガイドラインを定めました。ガイドラインをまとめてくれた業者に館内デザインも依頼したので、ガイドラインを忠実に守りながらホテルを造り込んでいます。
 今回、新たなブランドを確立したいというのが私たちの目指すところなのですが、ガイドラインを作っても社員が守らないこともあります。そこで、地道ではありますが、ガイドラインを書いた言葉をポケットに入れられるようなカードを作って配り、会議のときなどに必ず唱和するようにしています。現在、ティーバッグやお茶のケーキなどの商品を作っていますが、それらもガイドラインにのっとってデザインしています。また、ホテルの制服や館内BGMについてもガイドラインを軸に検討をしています。新たなブランドとして確立しているかどうか、今後温かく見守っていただきたいと思います。
 これまで「1899」についてずっと整理してきたので、龍名館においても同じ作業を行い、この5月に全く同じような形でガイドラインが完成しました。11月には内覧会を予定しているので、皆さんにはこれで本当にブランドができるのかという観点で見学していただけるとありがたいと思います。

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