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2018年11月13日 (火)

「米山月間に因んで」

10月4日卓話要旨

米山奨学生 申(シン) 侑(ユ)定(ジョン) さん
(河村 博会員紹介)
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   私は韓国出身で、東京医科歯科大学の大学院生です。実家は京畿道広州(クァンジュ)という首都圏にあります。日本語は、小学5年生から公文で勉強しました。日本の公文と違って、先生が週1回、家を訪れて授業をします。数学をやっていたので、日本語の科目を通じて学んだのが日本語学習のきっかけでした。今は第3外国語として中国語がブームですが、当時は日本語がブームでした。私は新しいことを学ぶのが大好きで、遊びながら日本語を学びました。テレビドラマを見たり、インターネットやCDで音楽を聞いたりしながら、歌詞にある漢字やひらがなを書きながら日本語を学んでいきました。字幕なしの番組を見ることを目標に勉強したら、公文が要らなくなり、中学3年生からは一人で勉強しました。湊かなえさんの小説が大好きで、小説を買って読んだりもしました。
 私が日本語を学び続けたもう一つの動機は、ある日本人のおばさんです。中学2年生のとき、ソウルの明洞にあるカフェに友達と行きました。当時のソウルは「冬のソナタ」の影響で日本人観光客が多く、カフェの隣の席には日本人のおばさんたちがいました。私は「生の日本語が聞けるチャンスだ」と思い、勇気を出して初めて日本語で声を掛けました。そして、おばさんに住所や電話番号を教えてもらい、連絡を取り合うことで自然と日本語が上達しました。今はおばさんの家と10分ぐらいの場所に住んでいます。日本のお母さんのような存在で、家族と離れていても心強いです。
 私は韓国で歯科衛生士学科を専攻しました。3年生から病院実習があったので、病院のことを学ぶために、近所にある小児歯科でアルバイトを始めました。病院実習と授業が忙しかったので大学の近くに住みながら、金曜の授業が終わったらすぐ実家に戻り、土曜日にバイトして、日曜の夜に大学に戻る生活をしました。
予防診療をする中で、2歳未満の子どもの虫歯がとても多いと実感し、乳幼児期の虫歯に興味を持ちました。調べていくと、「哺乳瓶う蝕(虫歯)」という言葉は、1960年代に日本で初めて使われたことを知りました。それから、5歳児の虫歯は韓国では平均3本ですが、日本は1.5本だったので、なぜこんなに予防できるのだろうと関心がありました。そして、日本の大学院を探したら、東京医科歯科大学の大学院課程に口腔保健があることを知り、留学を決めました。入学までの書類の準備や担当の先生との連絡は全て自分で行い、2年前に無事合格しました。
 合格後、日本でも歯科衛生士として研究を続けることを視野に入れていたので、日本の歯科衛生士がどんな勉強をしているのかが気になり、韓国の歯科衛生士の免許を取ってすぐ、大学院1年生のとき、厚生労働省の国家試験受験の認定を取り、今年3月に国家試験を合格して、両国の免許を取りました。
 現在は乳幼児期のう蝕に着目して研究しています。その中で、乳幼児期に飲む粉ミルクや飲み物に、ヒトの乳歯と似たブタの歯を入れ、脱灰を測定する実験をしました。すると、粉ミルクでもすごく脱灰されることが分かり、驚きました。夜間授乳などをしていると、歯磨きもできないし、寝ているときに唾液が少ないので、脱灰しやすい環境になります。歯科衛生士としていまだに行っていない研究なので、知られていることが少なく、苦労しながらも新しいものを見つけるたびにわくわくしながら実験を進めています。この11月、北海道で開かれる国際歯科研究学会でポスター発表を行う予定です。
 先週、博士課程の進学の面接を受けました。現在行っている脂質の脱灰抑制効果の研究を発展させたくて進学を決めました。今後実験を通じて、乳幼児期におけるう蝕と、口腔環境や食生活習慣、保護者の意識や行動との関連を調べ、う蝕の発生原因を検討するとともに、年齢によるう蝕の予防方法を提供する基礎資料を得るための調査もしたいと思っています。成人であれば自分の意識で歯磨きをするなどケアができますが、小児は自分でケアを行うのが難しいです。家庭内の習慣が大切であり、保護者の意識や行動が大きく関わっている分野なので、私は小児歯科に興味を持ちました。
最後に、私は皆様のおかげで修士課程の研究を進められていると思っています。これからの私の人生と、そこで得られた実践の活動を通して、恩返しができればと願っています。本日はありがとうございました。

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