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2019年3月27日 (水)

「ローテックス活動について」

3月7日卓話要旨
ローテックス 江原 珠李 さん
(中島 英嗣会員紹介)
 
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 私は2015~16年度、国際ロータリーの青少年交換プログラムでメキシコに派遣していただきました。現在は神田外語大学のスペイン語専攻の2年生です。
 ローテックスとは、ロータリー青少年交換プログラムで1年間留学した学生たちがその後3年間、留学経験を生かして活動する集まりです。主な仕事は、派遣来日学生のサポート、ロータリー行事でのお手伝いなどで、ローテックスが行事を企画運営することもあります。通常はロータリアンが来日学生にカウンセラーとしてつくのですが、年齢がかなり離れているので、学校などでの小さな問題をもっと気軽に話せるように、ローテックスがジュニアカウンセラーとして学生につき、サポートしています。
 私がメキシコに派遣されていた当時は、高校2年生でした。派遣国が発表されたときは、ロータリアンの人から「メキシコは治安が悪いから気を付けてね」と言われて不安だったのですが、私が訪れた地域は治安がそれほど悪くなく、日本と同じように安全に生活できました。それから、メキシコは暑いと思われるかもしれませんが、私が派遣されたプエブラという街は標高が高く、とても涼しい場所でした。雪は降りませんが、日本と同じくらい寒くなるので、暑い国というイメージで荷造りをしていった私は、冬前に何度も風邪をひきました。
 メキシコでは、来校3日目ぐらいで友達ができました。メキシコ人の性格だと思うのですが、みんな陽気で優しく、とても助けてもらったので、学校生活は楽しかったです。授業は全てスペイン語で、分からないときは友達が教えてくれたり、先生も授業後に丁寧に説明してくれたので、楽しくスペイン語を習得できました。ホストファミリーや街の人もとても親切で、私のメキシコに対するイメージはどんどん変わり、いつの間にか私も明るい性格になることができました。
 メキシコではロータリーの活動もしました。メキシコは貧富の差が激しいので、冬に貧しい地域を訪れて毛布や防寒具を配る活動をしました。それから、学校がない地域に小学校を建てるための募金活動をして、その寄付金を渡しに行ったりもしました。こうした活動を通して、私は人の役に立つことがしたいと強く思うようになりました。
 帰国後はローテックスとして活動しています。派遣来日学生のサポートなど、人助けとしては小さなものではありますが、いつかは多くの人の役に立つことにつながる第一歩だと思いながら活動しています。
 ローテックスの活動としては、8月にサマーキャンプを行っています。来日学生が日本に着いてすぐに参加し、派遣生同士で交流したり、日本語や日本文化について学んだりします。また、月2回、茶道の稽古をしており、来日学生の日本語スキル向上につながっています。隔月で行っている「フィールドトリップ」では、日本でしかできないことを来日学生に体験してもらっています。一番のメインイベントは3月のジャパンツアーで、来日学生を連れて日本の名所を回ります。9日間の長旅ですが、帰国後に母国で日本のことをいろいろ教えられるようにすることもテーマの一つです。行き先も全て自分たちで計画するので大変ですが、旅行後に「いい思い出になった」と言われると、これからも活動を頑張っていく励みになります。
 青少年交換プログラムはロータリーの中でも一大イベントだと思っています。私がこうして卓話をしているのも、このプログラムでローテックスになれたからで、普通の学生にはできない経験をたくさんさせていただきました。このプログラムは、「小さな親善大使」というテーマがあるので、派遣先で日本のことを伝え、現地の文化・歴史・社会情勢を理解することを求められています。普通の語学留学とは違うからこそ、いろいろなことを学べるいい機会にもなりますし、それだけ難しいことに挑戦するからこそ大きく成長することができました。ですから、多くの学生にこうした貴重な経験をしてほしいと思っています。そのためにも、私たちローテックスは、このプログラムのことを多くの人に知ってもらう活動を全力で頑張りたいと思います。ジャパンツアーやフィールドトリップができるのもロータリアンの皆さまの支援があってのものです。これからも派遣生が「小さな親善大使」として国内外で活躍できるよう、私たちローテックスも全力でサポートしていくので、ご支援をよろしくお願いします。

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2019年3月15日 (金)

「希望の風、奨学金制度について」

2月28日卓話要旨
2580地区希望の風奨学金支援委員会委員長 百目鬼 健 氏
(玉木 勝会員紹介)
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   「ロータリー希望の風奨学金制度」は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の遺児たちに奨学金を給付する制度です。両親または片親を亡くした遺児が高校を卒業後、大学・短大・専門学校で学んでいる期間、毎月5万円を給付し、返済は求めません。中高生はもらうことができず、専門学校生は高校卒業程度の学力があることが条件になっています。留年、休学、退学をすると、給付が打ち切られます。
 この制度がスタートしたのは、震災から8カ月たった2011年11月1日でした。ロータリアンとして、この制度ができた経緯を知っておくことは大切です。マグニチュード9.0という大地震と大津波により、被災範囲も北海道から千葉までと広く、被災地のどこに支援の手を伸ばせばいいのか判断しかねている各クラブに対し、2010~11年度のガバナー会で支援の窓口を一つにするように提案がありました。それに呼応してただちに各地から義援金が集まり、最終的には10億3800万円に上りました。そして、この義援金をどのような形で使えば被災地支援として有効なのかを検討する委員会をガバナー会の中に発足させ、被災地から5名、被災地以外から5名の計10名のガバナーからなる「東日本大震災支援検討委員会」が立ち上がりました。
 まず、集まった義援金の中から見舞金として北海道東部、青森、岩手・宮城、福島、栃木、茨城、千葉の各地区に計1億6800万円をお渡ししました。他にも義援金の使い道をいろいろ検討する中で、被災地・福島のガバナーから「決して大きくはない額を配分してしまうのではなく、将来を担う青少年の教育環境の改善のために一括して使うべきだ」という意見が出て、委員会としては「義援金を分散させずにロータリーらしい青少年の道を探る」という結論を出しました。この決定は、1923年の関東大震災の際に東京ロータリークラブが取った対応に学んでいます。生活用品の提供ではなく、人を育てる環境づくりや次世代を担う子どもたちの救援に義援金が向けられました。このことは、1995年の阪神・淡路大震災、2004年の新潟県中越地震にも受け継がれているそうです。
 しかし、次年度のガバナー会では長期のプログラムはできないと決断し、残りの義援金をいったん各地区に返還することにしました。そこで、そのとき賛同した10地区で「ロータリー東日本大震災青少年支援連絡協議会」を新設して義援金の使途を検討し、奨学金制度を始めたのです。制度開始から丸7年が経過し、現在の支援地区及び支援団体は、当地区を含めて28地区、この中には海外の2地区も含まれます。2019年1月31日現在、133人(延べ人数では368人)の学生に奨学金を給付してきました。
 大震災の直前に生まれた子どもが大学を卒業するのは2033年3月です。少なくともそれまでは、この制度を維持しなければなりません。制度の対象人数は1724人で、必要な金額は合計10億8000万円と試算されており、今年1月時点であと1億7500万円不足しています。まずは皆さん自身がこの制度を知り、新入会員の中にはこの制度のことを知らない人もいるので、例会を通じて啓蒙し、少額でも継続的に支援していただきたいのです。
 青少年支援連絡協議会の方針の一つに、「希望の風奨学生とロータリーとの交流を図ろう」というものがあります。この制度を利用して、明るく生き生きと勉強し成長している若者を直接見ていただくことで、さらに支援につながるとわれわれは考えています。
 ただ、交流を通じてわれわれが知ったことは、奨学生自身にロータリークラブから奨学金をもらっている実感があまりなかったことです。これには驚いています。しかし、考えてみると、本人がこの制度を知って申し込んだ場合を除けば、保護者が手続きをし、保護者を通じて本人にお金が渡る流れになっているので当然です。保護者は感謝していても本人は知らないことが多かったのは、大きな反省点です。ただ、交流を通じてわれわれの制度を知ってもらい、感謝の気持ちを伝えてくれたことは非常にうれしかったです。また、協議会のもう一つの方針として、「奨学生がロータリーの本質に触れて、自らが奉仕活動を実践する大人に成長してほしい」というものがあります。
 このプロジェクトは素晴らしいものであり、次世代を担う青少年の支援になっています。ぜひ2033年まで無事に継続できるよう、不足分の支援をお願いします。

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「コンサートホールの音づくり」

2月14日卓話要旨
(株)竹中工務店 技術研究所 日高 孝之 氏
(児玉 正孝会員紹介)
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   コンサートホールの音響設計では、オペラやコンサートなどの舞台芸術を、作者が意図したように最も美しく響かせる空間をつくることが重要です。なぜなら、作曲家は自分の身の回りにある教会やホールなど特定の空間での響きを想定して、そこで最も美しくなるように曲を作ってきたからです。ですから、コンサートホールを設計する際には、こういう響きのものが欲しいという人の感性に対して、音が伝わるという物理現象をコントロールする必要があります。つまり、人の感覚を物理的な数値で明確にする作業を行い、それを落とし込んで設計図を作っていきます。
 音楽を扱う難しさは、同じ音楽を聞いても人それぞれで異なる主観的な体験をしていることにあります。そのことを脳から考えてみます。脳を三つの層で捉えると、根っこは本能に関わる部分です。潜在意識ともいいます。その上に、情動を抑制する部分と理性をつかさどる部分があります。実は、われわれが音楽を聴いたり踊ったりしているときには、根っこの部分が激しく反応しています。つまり、潜在意識が音楽と非常に関わっており、音楽は人間の本質的な感性なのです。だから、われわれは音楽に感情移入できるのです。
 物理現象としては、人間の鼓膜に入った音が有毛細胞という感覚器官で電気的な信号(パルス)に変換されます。それが伝わって、脳内の神経で再構築され、われわれは音を感覚(クオリア)として感じているのです。しかし、人によって音の再構築のされ方が異なるので、感性や感覚が違ってきます。だから、それをいかに客観化し、設計に取り入れるかというのは最も難しいのです。
 1990年代、日本では本格的な劇場ホールが多く造られました。ただ当時は、世界的にも音楽的に良いホールとはどのようなものか、十分に解明されていませんでした。そこで、われわれは二つのことをしました。
 一つは、世界中の指揮者に手紙を送り、どんなホールが好きかを聞いて、良いホールを探すことでした。もう一つは、コンサートホールのランキングを参考にし、指揮者や音楽評論家にアンケートを取って、その結果を統計的に並べ替えることでした。そして、それをベースに世界66のホールを訪ね、音響を測定しました。実際にインタビューなどもして、良いホール、悪いホールの特徴を見つける調査研究をしたのです。
 良いホールは、音に包み込まれたような立体的な感覚を感じることができます。それに対応する物理量をわれわれは測ってきました。ただし、実際に建築を進めていく上で、数値だけでいいのかというとそうではありません。そこで、仮想のホールをコンピューター空間の中に模擬的に作り、設計段階である程度の音の確認をしています。その次に10分の1の模型を作って、この中で実験をし、音を確認しています。実際に作るのは大変ですが、建築は手直しができないので、設計精度を上げるためにもこのように2段階で設計します。最終的に建物ができた段階で、数値化できないものが当然あるので、耳で確認して手直し工事をしています。
 初台にある東京オペラシティコンサートホールは、世界三大ホールの実測値を設計目標にして造ったのですが、竣工して20年弱がたったときに、イギリス・ガーディアン紙の「世界のコンサートホールベスト10」に選ばれました。また、ホールというのは同じ形をしているのでデザインに差を付けるのは難しいのですが、代々木にあるホールを造ったときは、建築主から「外観を見て私のホールであることが分かるようなデザインにしてほしい」という要望を受けました。形は違えども、数値的には世界的に良いホールを目指して建築を進めた結果、良い評判を頂いています。初台の新国立劇場にあるオペラハウスは、日本初のオペラハウスでした。前例がない中でわれわれは、今度は世界三大オペラハウスの数値目標に沿って造りました。幸せなことに、世界21名の指揮者へのアンケートの結果、このオペラハウスが4番目に選ばれました。
 音楽に対する人の感性には、普遍性があります。
われわれの生理的機構は、変わることはないわけです。
つまり、音楽にとって好ましいホールは、時代を超え
て存在し得るといえます。そこに音響設計をすること
の普遍性も存在すると思っています。これまで話して
きた客観的な設計方法は、それに対する一つのソリュ
ーションではないかと思っています。

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2019年3月 4日 (月)

「ふるさと納税、ホントのところ」

2月7日卓話要旨
(株)トラストバンク 代表取締役 須永 珠代 氏
(新 健一会員紹介)

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   私は2012年から、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画運営しており、全国の自治体の約8割に当たる1400を超える自治体と契約しています。これまで地方に直接足を運び、漁師や農家、旅館や牧場の経営者などいろいろな方とお会いして、ふるさと納税の可能性を伝えてきました。今では20万点の返礼品を掲載しています。
 ふるさと納税は、2008年に施行された制度です。私は群馬県伊勢崎市に生まれ、高校卒業までの18年間そこでお世話になったのですが、今は東京で就職し、東京で税金を納めています。しかし、地方が育てた人材が東京に税金を納めているのは不公平です。そこで、一部でいいからふるさとに恩返ししようというのがふるさと納税の趣旨です。「ふるさと」というのは、どの自治体でもいいことになっています。
 ふるさと納税の方法は簡単で、インターネット販売と同じように、申し込むと控除証明書(いわゆる領収書)が自治体から送られてくるので、それを確定申告に出すだけです。少しだけ制約がありますが、ワンストップ特例制度といって、確定申告をしなくていい方法もあります。また、寄附するときに返礼品だけでなく使い道も選べます。普通、税金の使い道は自分で選べませんが、ふるさと納税は間接的ではありますが使い道を選べる唯一の制度なのです。
 ふるさと納税の寄附金額は右肩上がりで伸びていて、1億円以上集める自治体が何と500以上もあります。寄附金は自治体の税収になるだけでなく、地場産業の発展につながっています。しかも、寄附金は寄附者の指定した使い道以外はある程度裁量のある使い方ができるので、未来への投資として使うことができ、首長や職員は本当に感謝していると思います。
 例えば佐賀県太良町のミカン農家は、それまでは他のミカンと同じような流通をしていましたが、ふるさと納税への出品をきっかけに、全国にファンができました。さらには農地を拡大することができ、新たな雇用も生まれました。また、ジュースやゼリーに加工販売することで年収が安定するようになりました。ネット販売も始めたことで、販路拡大にもつながっています。こうしたミカン農家のようなインパクトを生んだ事業所は、全国に1~2万以上あることが想定されます。
 弊社が最も力を入れているのは「ガバメントクラウドファンディング」です。自治体のいろいろな課題を解決する資金を調達するためのものです。文京区の例を挙げると、分かっているだけで区内に子どもの貧困世帯が1000世帯あります。その子どもたちのために、「こども宅食」というものを始めました。食品メーカーからNPOに送られた賞味期限間際の食品などをストックして子どもたちに届ける仕組みなのですが、人件費と設備投資費がかかります。その予算を文京区としては少ししか出せないので、資金を補うためにふるさと納税を活用することになりました。これには返礼品はありませんが、2000万円の目標金額に対し8000万円が集まりました。
 「ふるさとチョイス」には、ふるさと納税を通じて被災地を支援できる仕組みもあり、累計50億円以上の災害支援金が集まりました。
 しかし、自治体はあんなに大判振る舞いして、本当にもうかっているのかという質問をよく受けます。例えば皆さんが1万円を寄附すると、その3割が返礼品代となり、人件費や事務手数料を引いた残りが自治体の税収となります。返礼品の送料だけは地域外に流出しますが、1万円のほとんどは地域内に落ちるので、自治体は税収をきちんと住民に還元することができるのです。
 今、返礼品が高価過ぎることが問題になっています。自治体の税収のために行っているのに、ギフト券などで返礼してしまうと結局は大手企業に使われてしまうので、それではいけないというのが総務省の見解です。総務省が自治体をいじめているような構図になっていますが、実は総務省は制度の趣旨に沿った多くの自治体を救うために致し方なく規制を強化したので、多くの自治体は総務省の決定に感謝しています。
 「ふるさとチョイス」の方針として、地場産業でなければ駄目だということ、共通ポイントやギフト券は扱わないことを掲げています。そして、地元にお金を落とさなければならないので、手数料は平均2~3%だけ頂いています。
 このように、ふるさと納税は民意の反映なので、ぜひ皆さんの意思をふるさとに届けてほしいと思います。

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