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2019年9月11日 (水)

「東京オリンピック1年前」

8月8日卓話要旨
JOC名誉会員・丸天流通グループ代表 平岡 英介 氏
(井上 貴夫会員紹介)
201988

 


 オリンピックといえば総合競技大会を思い浮かべるかもしれませんが、近代オリンピックは平和や国際協調(オリンピズム)を具現化するために復活されたものです。当時のヨーロッパは戦争中だったのですが、古代オリンピックでは大会期間中、停戦していたので、クーベルタンがそれに倣って復活させたのです。そうした大きな目的のために競技大会があるので、単にメダルを取ればいいわけではありません。フェンシングや射撃、馬術など戦に関連する種目が多いのも、戦をスポーツとして昇華させるためです。このオリンピズムを普及させることがオリンピック委員会の務めです。
 しかし、近代オリンピックでは、政治的介入やボイコットなどさまざまなことがありました。モスクワ五輪では米国の意向で西側諸国がボイコットし、続くロサンゼルスではソ連をはじめとする
東側諸国がボイコットしました。モスクワではフランスやイタリア等は参加し、イギリスも政府の命令に
反して有望な種目では出場しましたが、日本はメダル候補が何人もいたにもかかわらず、アメリカからの強い圧力で、最終的に政府から「来年からスポーツに補助金を出さない」という脅しがあり、泣く泣く参加を諦めることになりました。
 また、ミュンヘンのときにはテロもありました。そのとき国際オリンピック委員会(IOC)は中止も考えたのですが、オリンピックはスポーツの力によって国際平和、国際協調、友情を育むものなので、犠牲者のためにも競技を続けることにしました。
それから、オリンピックの歴史を大きく変えた一つがドーピング問題です。男子100mのベン・ジョンソン(カナダ)は禁止薬物の検出で世界記録を抹消され、30代の若さで亡くなった女子100m世界記録保持者のフローレンス・ジョイナー(米国)にも薬物疑惑があります。従って、命を賭けて薬物を使用しても金メダルが欲しいという考え方は間違っているとして、現在はドーピング検査が厳しく行われています。
 もう一つの大きな変化は、プロに門戸を開放したことでした。オリンピズムを普及・発展させるためにも、各競技の最高の技術や力を示すべきであり、プロを締め出すのはおかしいという意見がありました。そのため、国際競技連盟ごとにプロ解禁時期は異なるものの、ある時期からプロも出場できるようになりました。現在はゴルフやテニスもプロが出場しており、今回からボクシングも出場が認められています。
つい最近では、男女差別もオリンピズムに反するとして、ほぼ全競技で男女同数になりつつあります。前回の東京五輪のとき、女子種目は本当に限られていましたが、現在は同種目同人数となるだけでなく、男女混合種目を作るなどしています。オリンピックも時代に合わせた変遷が進んでいるのです。
 日本オリンピック委員会(JOC)ができたのは1911年です。オリンピックに出場するには、その国にオリンピック委員会がなければならないので、ストックホルム大会前に発足し、柔道で有名な嘉納治五郎が初代会長となりました。
来年の東京大会は、こんなに順調な大会は初めてという評価を頂いています。施設も順調に建設されており、ハード面では全く問題がありません。ただ、ソフト面ではセキュリティの問題があります。オリンピックに限りませんが、非常にサイバーテロが多くなっています。現在では、会場に爆弾を持っていくのはほぼ無理なので、ミュンヘン五輪のようなテロは起きないでしょう。代わりに、サイバーテロで大会システムを壊したり、変電所を狙って停電させたりする方向に変わってきました。これに関しては2年ほど前から英知を集めて、何とか防ごうと対策しています。
 もう一つ問題になっているのが暑さ対策です。選手は涼しい所に一時退避できますが、観客は涼む場所もないので、熱中症になってしまう危険性があります。そうした問題も含めて検証するため、来年に向けてプレ大会が各種目で行われています。
 ボランティアは11万人の参加が予定されています。競技関係では、8万人の募集に20万人の応募がありました。2月に締め切って、今月いっぱいまで書類選考と面接をしています。現在募集しているのは聖火ランナーです。年齢は問いません。現在は聖火が他国を回ったり、火を分けて回ったりすることが禁じられているので、約130日(東京都は15日、他県は2~3日)をかけて日本全国を回ります。もしオリンピックに関わりたい方がいましたらぜひご応募ください。

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