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2020年7月31日 (金)

「テレワーク時代の産業医」

7月16日卓話要旨
矢島 新子会員
(株)ドクターズヘルスケア産業医事務所 代表取締役

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   本日はテレワーク時代の産業医ということで、あまり知られていないその役割について、またコロナで産業医訪問がない中での、特別な試みについて紹介致します。
 今、慣れない在宅勤務で体調を崩す方が増えています。 また、コロナ罹患の不安などから、メンタル的に崩れてきている方もいます。 米国研究機関の調査ではTVを見る人ほど鬱になり易い傾向があるそうです。ワイドショーなどコロナによる悲劇的なニュースが流れる中、TVを長時間見る人ほどメンタルが崩れるのです。
ストレスによる体調不良は、コップの水に例えられます。ストレスを感じると、それが水のようにコップに溜まって行きます。 精神的負担があると水位が上昇しフチに近づき、緊張状態で最後の一滴の一押しで崩れて行く感じです。多くの場合その一滴は、大したことではないのですが、家族関係や職場環境など様々なストレスで、コップの水はすでに限界まで来ていたという可能性があるのです。一方で、精神面が良くなっている方もいます。テレワークになって嫌な上司の横で仕事をしい為、ストレスが減りましたという方が半分以上です。今回のコロナによる環境変化は、それぞれのメンタルヘルスに、様々な影響を与えているのです。
  コロナ鬱を防ぐためのポイントを4つ挙げます。
まずストレス自体を減らす工夫をすること。次にストレスに対する考え方を変えること。例えば、コップに水が半分入っている時に「半分しかない、大変だ」と思うと結構ストレスを感じますが、逆に「半分もある」と思うとストレスは軽くなります。 3つ目はストレスを発散させること。ストレスが無い方はおらず、ストレス無しには成長も無く、問題は溜まりすぎることなのですから、その発散法を身に着けることが大切です。最後に、周囲の人たちと分かち合うということ。「コロナって嫌だね」などと会話するだけで、気分は随分変わるものです。
50人以上労働者のいる事業場は、産業医を選任する法的義務があります。産業医は治療をする主治医や検診の医師と違い、社員の健康状態と環境を確認し、仕事をして良い状態か等の評価をします。また職場の巡視、衛生委員会への出席を行いますが、一番の基本は健康診断の事後措置です。さらに過重労働管理も大切で、例えば高血圧など健康リスクがある方には、残業禁止や制限を会社に代わって指示します。過重労働者との面談で、重度の高血圧の方を確認した場合など、この状態を放置しこの方が仕事中に脳出血や脳梗塞を起こすと、会社の責任が問われますから、この様な方に正しい措置をするのが私たちの業務です。予防的な見地から社員向けの研修などで健康教育も行います。
 この為、この様な役割を果たす産業医のいない50人未満の事業場に、特にお薦めしたいのは、社員の健康診断の事後措置をしっかりやることなのです。 
先の様な健康状態が悪いなか長時間労働をさせているというケースでは、会社が訴えられるなど不利になる場合もあり、社員の健康状態には注意が必要です。 また、メンタル不調での休職者は、その復職にはハードルが高いこともあり、面談の上、復職へ向けた目標設定をする等のサポートも産業医の仕事です。最近ではシニア雇用も増え、持病のある方の健康管理をしてほしいというニーズに応えています。
最近、オンラインでの対応ニーズが増えています。 50人未満の事業場向けの制度「小規模事業場産業医活動助成金」が活用でき、産業医のコンサルティング的なお手伝いが可能となったため、産業医選任義務の無い企業でも、社員の疾病の対応・健診の判定などを依頼できる医師として、オンラインで社員と面談の上、アドバイスしています。また、厳しい環境の海外駐在員の健康管理を依頼され、オンラインで面談の上、アドバイスもしています。
健康経営で「ホワイト500」を取得したいという企業も増え、コンサルタントとしてお手伝いもしています。また、がんと就労の両立ということで、がん患者の社員を受け入れるための管理職研修など社内支援制度を作り、東京都の奨励賞を頂きました。
オンラインへの心理的ハードルがコロナ禍で急速に下り、今後ますますオンラインでの業務の拡大が見込まれます、これがどのように社員の健康に生かされるか楽しみです。

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