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2022年12月13日 (火)

「コロナ禍でどう変わった?最新の税務調査の動向」

11月25日卓話要旨
髙柳 憲嗣会員
(税理士法人髙柳総合会計事務所 代表社員)

2022122

   税理士法人髙柳総合会計事務所で所長税理士をしております。私で3代目になりますが、8年前に父が65歳で急逝した際も東京神田RCの皆様にはお世話になりまして、この場を借りて改めて御礼申し上げます。
仕事柄、税務調査に立ち合うことが多いので、この2~3年のコロナ禍における調査の変化を中心に、会社を経営されている皆様のヒントになるお話ができればと思います。
はじめに、データから最新の税務調査の動向を読み解いてみます。新型コロナウイルス感染症の影響で、税務調査の実地調査件数は令和元年から2年間で約1/3と軒並み減少しています。税理士としても2年程前から急激に減ったと感じています。実地調査が行えない代わりに書面での調査が多くなったことや、初めて確定申告の期限が1か月延長されたこと等、コロナの影響を大きく感じております。
また最近特に確認をされることが多いのが、所得税に関係する財産債務調書についてです。資産総額3億円以上を保有し、年間所得が2千万円を超える方は、自らの財産と債務を税務署に届け出る義務があります。その調書の提出を求められるケースがここ2か月程で増えています。さらに、最近の傾向として、効果的・効率的な調査を行う為に、不正がありそうなところをデータで絞り込み無駄なく適正に調査をしていく流れがあります。
最新のトピックスとして、1つ目は消費税還付申告法人による消費税の不正還付です。国庫の詐取ともいえる悪質性が高い行為であると非常に問題視されています。主な調査事例としては、輸出に関する虚偽の書類を作成し、架空の輸出売上(免税取引)と国内仕入を計上するというケースです。2つ目はグローバル化により海外との取引が増えている法人が多いこともあり、海外取引に係る源泉徴収漏れに関する調査が大変多く見受けられます。例えば、日本に半年以上住んでいない非居住者等に支払った給与等や、不動産譲渡(外国の方に日本の不動産を売却した事例が多い)にも源泉徴収の義務があります。3つ目は無申告法人です。申告をしていない法人に対して積極的に調査を実施することは当然のことですが、無申告をどのように探しているかというと、やはりインターネットです。例えば飲食店等の場合、SNS等の口コミで話題になっているのに申告されていないお店には実際に踏み込むというケースが見られます。
さて、コロナ禍における税務調査の実態ですが、接触日数と時間を減らす為、税務署側が人員を増やして短期間で行うケースがありました。また、従来は調査官が会社に来て紙の資料見るという方法でしたが、最近は税務署から先にこのようなデータを用意して欲しいと連絡が入り、提出したデータを署内で分析・統計することにより効率的に調査を行う流れとなっています。提出するのは、総勘定元帳や1年分の請求書のデータ等が主なものです。実際にデータを細かく分析し、膨大な量の質問事項に答えなければならないケースがあり、納税者にとっても大変負担の大きな調査もありました。  既に大法人や上場企業では実地ではなくリモートによる調査が行われており、今後電子帳簿保存法という制度も始まります。
この制度により様々なデータを会社は整理して保存をしておかなくてはならないので、これは今後の税務調査手続きを簡便にする為の制度という印象を持っています。では、どのような対策をしたらいいのかですが、データの提出は今の段階では強制ではないので、納税者側である程度情報を取捨選択して、まずは最低限求められる資料を提出し、後は必要な都度提出するのが効率的な進め方だと思います。納税者と税務署では目線が違う為、我々のような代理人をうまく利用して頂き、納める側とそれを調査する側の立場を丁度良くまとめる役割を担うことができるのでお勧めです。最後に、無予告調査があります。通常、代理人がいる場合には調査の前に必ず通知をしなければならないルールがあります。実際のケースは朝9時、急に税務署が全支店に同時に調査に来たというものでした。調査対象は飲食店だけに限らず中々予測は出来ません。ポイントは、代理人が現場に到着するまで待ってもらうこと。税務署を中に入れると自動的に調査が始まってしまうので、必ず我々が到着するまで待つように伝えること、そうずれば勝手に入ることは出来ません。以上、皆様の会社経営の中でお役に立てましたら光栄です。

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「歴史人口学からみる新型コロナ感染症」

11月11日卓話要旨
上智大学名誉教授  鬼頭 宏 氏 
(荻原弘幸会員紹介)

20221111

 歴史人口学を日本に導入した速水融先生が指導教授だったご縁でこの分野に携わることになりました。本来は江戸時代の研究が中心ですが、今日は歴史人口学の面から新型コロナウイルス感染症の話を致します。
人口の面でコロナが与える影響を挙げると、1つは出生数の大幅な減少です。今年の出生数の予測は昨年より4万人減り、77万人程になるそうです。2つ目は死亡についてです。昨年コロナで16,771人が亡くなりました。自殺者約2万人と糖尿病約1万4千人の間の位置付けです。高齢者の誤嚥性肺炎4万9千人よりは少ないものの、死亡者は増えています。3つ目は人口移動について。首都圏の人口が調査開始以来、初めて減少しました。私は静岡に住んでいましたが、とにかく若い人が東京へ出てしまう。少しでも転出を防ぐ為に四苦八苦していましたが、一昨年以降首都圏から人が入って来るようになり、今後の影響も非常に興味深く見ています。
コロナの特徴について、過去の死亡態様との比較からお話します。1つ目は季節性の問題です。新型コロナウイルスは気温が5度~15度ぐらいの時期に活性化すると言われていますが、各波の発生動向を見るとピークとなった月はそれぞれ異なり、実際よくわかりません。特に第7波は8月半ばにピークが来ました。
江戸時代から昭和戦前期までは圧倒的に夏に亡くなる人が多く、主な死因は赤痢、腸チフス、コレラ、下痢・腸炎などの消化器系感染症でした。冬にも山があり、流行性感冒、ジフテリア、肺炎、気管支炎など、呼吸器系疾患が中心で、明確に病気と季節の関係が見られました。1883年~2018年の死亡率の、季節毎の変化を見ると、スペインインフルエンザが流行した時期を別にして、夏と冬にピークがある二山型のパターンが1940年頃まで続きます。戦後~1980年代にかけて死亡率が下がると同時に二山型の季節性は見られなくなりましたが、近年は高齢化によって死亡率全体は増えています。
夏の死亡率の高さは、上下水道が整い、医薬の進歩によって感染症が抑え込まれて、戦後は癌、心疾患、脳血管疾患が増えてきました。現在は高齢化の影響で肺炎が再び増えています。経済、生活、技術の変化を背景に死因が変化し、それが死亡の季節性を大きく変えてきたのだと思います。
2つ目は都市と感染症の関係です。ヨーロッパで都市=墓場説、速水融先生が都市=蟻地獄説と唱える現象があります。近代以前の都市は衛生環境も悪く、人口の密集、栄養不足等が死亡率を高めているという説です。伊藤繁先生の調べによると、日本でも19世紀は死亡率が出生率よりも高い都市が非常に多かったのですが、日露戦争頃を境に死亡超過都市は減少し、都市はむしろ安全な地域になった事が分かります。
では新型コロナではどうでしょうか。都道府県別の人口密度と10万人当たりの患者数を対数グラフで示した資料によると、2020年2月時点では関連性は全く見られなかったのが、3月以降徐々に相関関係が強くなりました。統計上のピークは同年7月で、感染者数の7割は人口密度で説明出来る程となり、特に大都市圏で高い傾向でした。当初からの「三密を避けましょう」というのは正しかったのです。現在は、人口密度と陽性者の関連は統計的に有意ですが地域差が目立たなくなってきており、都市=蟻地獄説的な面を持っていても緩やかになっているようです。
ちなみに、スペインインフルエンザの場合はというと、速水先生の研究によれば、死亡率と府県別の人口密度との間には相関関係が全くありませんでした。インフルエンザは季節性が非常に強い病気ですが、人口密度との関係は無いと考えられます。コロナも今年の春から、相関係数が下がって人口密度との関係がなくなってきていますので、全国津々浦々に病気が波及して根付いてしまうと、人口密度とは関係なしに病気が流行る可能性があることを、今後は考える必要があるのではと思っています。指標が違うので簡単には言えませんが仮説として紹介致しました。
時代によって技術も生活様式も違いますが、次々に新しい病気を人間が呼び込んできます。ワクチンや治療薬だけでなく、病気の特徴を早い時期に見極めて生活様式を変える事で防げる可能性もあるかもしれませ。新型コロナが収束する事を願いながら、この病気の生態を季節性という面と都市の人口密度という関連でお話し致しました。

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「離婚すると子供は母親にとられてしまうのか?」 ~共同親権に関する民法改正作業の状況

10月28日卓話要旨
野村 憲弘 会員 (弁護士)
20221028

    現在、法制審議会では親子法制の改正が進められています。議論の中心は共同親権です。8月には中間試案をまとめパブリックコメント募集を行う予定で、ちょうどこの例会の時期に重なると思っていましたが、先延ばしの状況です。共同親権について議論されているのは、離婚すると大抵は母親が親権をとるという現状にあって、離婚しても父親も関与させてほしいということです。
親権とは、子供の利益のために監護・教育を行ったり、子供の財産を管理したりする権限であり義務で、一般的な身の回りのお世話をする身上監護権もその一つです。中でも重要なのが、進学や医療行為の選択、養子縁組等の身分行為や財産管理等です。
離婚をして母親が親権を持つと、たとえ母親が再婚をして新しい夫と子供が養子縁組をしても、実の父親がそのことを知らないということもあり得るため、改善できないかと議論されています。
1947年に家制度が解体して今の民法になりました。現行法では、結婚している間は父母が共同で親権を行使しますが、離婚するとどちらか片方を親権者として決めなくてはなりません。今の民法になった戦後すぐは、父親が親権を取るケースの方が多くありました。家制度の名残で、嫁は出て行くものだという考えと、特に跡とり息子は置いていかなければならないという意識だったことに加え、核家族が進んでいなかったので祖父母が面倒を見ることができたということも背景にあるのではないかと思います。
それが1965年頃から母親が親権を取る方が多くなり、今では9割以上に及びます。現在では裁判になると、いくら父親が献身的に育児を行い子供がなついていても、父親の親権はまず認められません。また、面会交流権という、離婚して親権を取られた親でも子供と会えるということあるのに、親権を取った母親がなかなか会わせてくれないということがよくあります。こうして不満が溜まった父親側は、稼ぎも時間もあるので社会的運動を起こして自民党を動かす図式となっています。
共同親権の議論では、双方で見ている景色が違います。賛成派は、妻が子供を連れて出て行き何の意見も言えないし、会わせてももらえないと言うし、一方、反対派は、夫がDVや、何もしないくせに口ばかり出す、やっと離婚できたのに共同親権などとんでもないと言うのです。 
親権と言っても今では親の権利ではなく子供の権利であると考えられています。世界的な潮流としても19世紀位は欧米でも日本でも家を守るにはどうするかという発想だったのが、その後、家ではなく親の家族法ということになり、さらに今では子供の幸福が最も重要であり、子供のための親子法という考え方になっています。現在行われているのも、「子供のためにはどういうことが一番いいか」という結論です。
私が一番よいと考えるのは、離婚をしても平日は母親が面倒を見て、週末は父親の所に泊まりに行くような形ですが、そのような理想的なことをしている離婚した父母はごく少数です。共同親権を主張する側は、婚姻中は双方で子供のことを考えて決めていたのだから、離婚しても同じはずだという主張ですが、反論する側は、仲が悪くなって離婚したのだから、そもそも決められるはずがない、片方がイニシアティブをとることになるのではないかという意見です。さらに言えば、現行制度の単独親権でもしっかり双方で決めている離婚した父母も一定数存在しているのだから、あえて新しい制度を作る必要はないのではないかというようなことも主張されています。 
中間試案のたたき台は「共同親権とするか」「共同親権とする場合、原則をどちらとするか」等々、両論併記で幾つもの選択肢を示し、広く国民に意見を求める形でしたが、自民党法務部会に気にいってもらえず、今後どうなるかよくわかっておりません。
おまけですが、今回の法制審議会では父母という点では第三者である祖父母をターゲットとして議論もなされており、祖父母の孫に対する関与の仕方も将来的に重要視されてくるのではないかと思います。

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「かけっこに感謝・駅伝を楽しむ方法」

10月21日卓話要旨

保険代理業・鎌ヶ谷ロータリークラブ会員 本村 穣治 氏
(中島 英嗣会員紹介)

20221021

   はじめに私のホームタウン、千葉県鎌ケ谷市を紹介致します。鎌ケ谷市は人口約11万人、周囲に船橋、市川、松戸、柏、白井市があります。有名な企業としては、くすりの福太郎があり、日本ハムファイターズの二軍球場と寮があり、入団すると必ず入寮するので、ダルビッシュ有、大谷翔平、斎藤佑樹らも約3年は鎌ケ谷市民でした。海上自衛隊の下総基地もあります。所縁のある人物としては、ディーンフジオカ氏、前澤友作氏、彼らは当クラブの高田会長や私と同じ中学の先輩後輩です。 
私は昭和40年札幌生まれで、6歳から鎌ケ谷に住んでいます。鎌ケ谷二中、八千代松陰高校、東海大学と進学しました。東葛エリア(鎌ケ谷・松戸・柏・野田・流山・我孫子)は駅伝が盛んで、全中学校が必ず参加する東葛駅伝があります。全国高校駅伝に3年間出場、箱根駅伝にも4年間出場し、
1年は3区、2年が花の2区、3年4年は山上り5区で芦ノ湖までのゴールを走りました。全日本大学駅伝や東日本縦断駅伝には高校大学と、計5回出場しました。
縁の深いオリンピアンはメキシコから3大会連続マラソン代表の宇佐美彰朗氏、大学時代の恩師です。昭和39年東京のマラソン代表寺沢徹氏は実業団時代の監督です。高校の先輩後輩にバルセロナの1万m代表大崎栄氏、現在競歩のヘッドコーチをしている今村文男氏がいます。アテネのマラソン入賞の諏訪利成氏、ロンドンの5千m、1万m代表の佐藤悠基氏、彼らは大学の後輩です。
さて、テレビ中継もある大学三大駅伝ですが、3つは全く異なる駅伝です。出雲駅伝は距離が短くスピード重視、全長45km、6区間。全日本駅伝は106.8km、8区間。箱根駅伝は 217km、10区間を2日間で走ります。実は箱根駅伝は関東の大学にだけ出場権がありますが、再来年の第100回大会は全国からの出場が決定しました。各駅伝に出場枠があって予選会がありますが、関東地区では箱根で10位に入ると翌年も箱根に予選会なしで出られるし、出雲にも出られる。3位に入れば全日本も出られます。
箱根駅伝の往路は、1区大手町読売新聞社前から鶴見中継所まで21.3km、花の2区が鶴見中継所から戸塚中継所まで23.1km、5区の山上りが一番大変だと思われがちですが、経験した者から見ると段違いに2区の方がきついです。どこで倒れるか意地のぶつかり合い、勝負の区間です。3区が戸塚中継所から平塚中継所21.4km、4区が平塚中継所から小田原中継所20.9km、
5区が小田原中継所から箱根芦ノ湖までの20.8km。復路6区は2区に次いでキツイ区間。ブレーキをかけずに下るので足が麻痺状態になり、鍛えていても6区を走ると翌日はほとんど歩けません。7、8、9区を経て10区23.0kmは、日本橋商店街の強い要望で、15年程前に日本橋を通るコースに変わりました。気温上昇や都内のビル風で脱水症状になる事も多い区間です。
今年の選手の出身県ですが千葉が突出して多く、次いで埼玉、神奈川、学校別では学法石川に次いで佐久長聖、母校の八千代松陰も6名です。今大会注目選手、一番は順天堂の三浦君。学生唯一のオリンピアンで2020東京に出場し日本人は入賞不可能と言われていた3千m障害で7位入賞しました。中央大学の吉居大和君は今年の1区で十何年ぶりの区間新を出しました。駒澤の田澤廉君は日本の歴代2位です。同じく駒沢の佐藤圭汰君は高校時代1,500から5千m全ての高校記録を塗り替えた逸材です。駒澤には鈴木芽吹君もいて今年はやはり駒澤、青学の二強だと思います。平成国際の留学生イェゴン・ヴィンセント君も注目です。 
私が3年時に完全生中継が始まったのですが、当時は後ろに自衛隊のジープが付いて何時でも声が掛けられました。今は監督車に変わりましたが、脱水症状や危ない状況の時以外、声は掛けてはいけない事になっています。箱根駅伝は良くも悪くも一つのショー的になっています。選手たちにとっては嬉しい反面、実業団へ進んでも長く走れるわけではなく、企業の予算や枠もあり、3年位で結果を出さないと引退もあります。もう少し長い目で見てあげられれば、もっと良い選手が育つのにとも思っております。
以上、ちょっと一生懸命かけっこをやっていましたというお話をさせて頂きました。

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「ウクライナ戦争─誰が勝者になるのか」

10月14日卓話要旨
テレビ朝日報道局 コメンテーター   武隈 喜一 氏
(児玉 正孝会員紹介)

20221014

   本日はこのような機会を頂き誠にありがとうございます。せっかくの機会ですので「ウクライナ戦争、誰が勝者になるのか」という私の個人的な思い切った話をさせて頂きます。
ロシアの侵攻が始まってから毎週ロシア人の友人達と電話をしていますが、彼らも一枚岩ではなく、この戦争を巡り家庭内や友人同士で亀裂ができて、様々な思いを抱えながら日常に対処していることが伝わってきます。ロシア軍は、当初、72時間でキーウを落とし政権を転覆しようと考えており、このような大戦争になるとは思っていなかったようです。日本では2月24日に始まったと思われていますが、ウクライナにとっては2014年3月にロシアがクリミアを併合した時から始まっており、8年戦争です。いつかロシアは攻めてくると、ウクライナは軍を鍛え市民防衛にも力を入れてきました。そのため効率的な反撃ができたのだと思います。

戦場の規模感ですが、キーウと西側のリヴィウは凡そ東京-広島間の距離です。したがって、ロシアが占領している地域は福島から東海道を抜けて近畿全域。ウクライナはほぼ平地なので、この福島から岡山に至る前線700~800キロを護るのは相当大変です。
ロシアは動員令で集めた兵士に銃を持たせて立たせておくだけでも良いわけです。逆にウクライナ側にしても西側から供給された戦車や武器を列車で運ぶのは時間がかかり、大変な困難を伴うというのが実態でしょう。先日、ロシアが80数基のミサイル攻撃をしました。日本にも北朝鮮のミサイルが1~2基飛んできますが、現実問題として80基のミサイルが一斉に飛んでくるのです。安全保障、自分たちの国を守るという事を真剣に考えていかなくてはいけません。
さて本題です。果たしてプーチン政権はもつのか?TVではプーチンは焦っている、自棄でミサイルを撃っていると言われていますが、それは希望的観測で、実際には国民の支持を繋ぎ止め権力を握っていると思います。但しプーチン政権に不安定な要素がある事は確かです。政権基盤がロシア軍とKGB(現FSB)であるのはソ連以来一貫して変わりません。KGBは個人や組織の秘密に入り込み、得た情報を脅しに使いながら社会を構成していく密告と脅しの組織で、法を越えた手段さえも与えられ、特権が与えられている非常に歪んだ組織です。これまでプーチンは微妙なバランスでKGB幹部と国防省(ロシア軍)幹部に特権を与えて牛耳ってきましたが、大きな亀裂が生じています。元々ロシア軍は諸手を挙げて侵攻しようとしていたわけではなく、3日で終わるという読みがKGBから上がり、ウクライナは歓迎してくれるというので入っていったのです。その後の苦戦についてロシア軍はKGBに対して大変不満を持っています。反戦・反動員の広がりはと言えば、今は収まっていて順調に動員が進んでいます。
では、経済制裁はというと、実際には普通に貿易をしている国もあり市民生活への影響はそれほど多くありません。もちろん金融や生産部門への影響は極めて大きく、ボディブローのように効いてくると思いますが、終戦のきっかけとなるとなかなか難しいと思います。こうして見るとプーチン政権はそう簡単には崩れない。やはり注目すべきは、軍とKGBとの溝が深まり、プーチンの安定基盤が切り崩されることだと思います。他に、中間層、すなわち働き盛りの人口流出はこの2年で200万人と大きな損失になると思います。動員格差による地方の不満も極東付近では高まっています。一方、ゼレンスキーの不安と言えば、西側の支援疲れや国内経済の破綻ですが、NATOとアメリカが相次いで万全の支援を表明した所です。
では誰が勝者になるのか?私はロシアが勝つことはあり得ないと思います。孤立し巨大な北朝鮮のように成り得ても、勝つことは無い。もはや核兵器を使っても戦局を好転させることは出来ず、プーチンとその周辺幹部の命は持たないであろう報復を西側は考えています。しかしウクライナや西側諸国が勝者になるかは、ロシアの負け方次第だと思います。ロシアが負けて地方に分裂し、各地でプーチン的な独裁者が出現し核兵器を握るかもしれないことが一番危惧されており、どのようにロシアを敗北させていくかが大変難しい局面だと思います。戦争は、ロシアが占領している地域をウクライナが一歩一歩開放し取り戻していくプロセスを経ないと終わらないのではないか、故に、まだ長く続くだろうと考えています。

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「米山月間に因んで」

10月7日卓話要旨

米山奨学生 孫(そん) 雲涛(うんとう) さん
 (久保 和人会員紹介)

2022107

  このような機会を頂き甚だ恐縮ではありますが、その上で敢えて何をお話したら良いかと考え、自分の専門である哲学と関わることをテーマに決めました。啓蒙時代以降「人間は尊重されるべきだ」というものが無条件的な考え方であると思われてきましたが、それ以前は、人間は神の被造物に過ぎないとされ、尊重されるべき存在者だとは考えられていませんでした。果たして人間は尊重されるべきなのかということを改めて問うのが本日のテーマです。

人間は尊重されるべきだというテーゼに戻って考察すると、「べし」には「~して当然だ・~するのが適当だ」というような意味があります。一方対義語は、「~したい・~して欲しい」等であり、自らの欲望を一方的に要求する言葉です。例えば、お腹が空いたらご飯を食べたい等、いずれにしても個人的なことを目標として求めます。しかし「べし」の場合、普遍的な立場で物事を要求するため、例えば他人に対して約束したことを履行するべきだと主張する場合、単に特定の人に対してのみならず、全ての人にもそのようにして欲しいと考えているはずです。このことから、動物は自然の法則に縛られているため要求や傾向性によってのみ行動しますが、人間は他の動物とは異なり何をすべきなのか、或いはすべきでないのかを自由に選択することができる、特殊な存在者であることが明らかです。
例えば『詩経・小雅』にはこんな話があります。柳下惠という道徳意識の高い高尚な男性が寒い夜に旅をしていると、美しい女性と出逢う。この女性が凍死しないよう自分の懐中で一夜を明かすが何も不道徳なことはなかった。これは動物界では決して起こらないことですね。動物たちは、交尾の季節には自然の摂理に支配されて交尾行為をせねばならず、何をすべきなのか、すべきでないのかを考えることはありません。
つまり、動物たちは自然の法則でのみ行動しますが、人間は道徳法則に従って行動することができ、もし不道徳だと考えればやらないという自由も持っています。このような存在者のことを、ドイツの哲学者イマヌエル・カントは「理性的存在者」と呼んでいます。人間は理性的存在者ですが、自然界に生きている動物でもあり、他の動物と同じように食事をしたり睡眠をしたりしなければなりません。即ち厳密に言えば、半分が理性的存在者で、半分が動物と言わざるを得ないのです。しかし自らの動物性を克服し、100%の理性的存在者になることも可能だということが、この柳下惠の話からわかります。とはいえ自分の動物性を克服するのは、決して簡単なことではありません。
例えば筋トレは、突然やる気になってやるものではなく、決めた計画を毎日やり続けることが成功の秘訣です。しかし毎日同じことをやると、いつかその限界が来ることもあります。私がよく経験することですが、一日の授業が終わった後、今日は頑張ったので家に帰って休もうという気持ちと、反対に、自分が決めた計画と目標を考え、やはり今日の筋トレはまだやっていない、やらないと自分を裏切ることになるという気持ちも湧いてきます。
このように自分の動物性を克服するために、大変な思想闘争をしなければならないのです。それでも決めた計画のために一時的な欲望や衝動性を我慢して成功した時、心からの喜びが生まれるため、私は目標に従って生きるのが好きです。自らの理性が、目標に従って行為することを自律と呼びます。自律は他律とは違い、外部からの強制的な命令ではなく自らの理性のみで立てられる法則を遵守して行為することができます。
西洋の哲人だけでなく儒教思想の孔子も同じような考え方を持っていました。ある日弟子の顔淵が「仁とは何か」と聞くと、孔子は「克己復礼を仁と為す」と答えました。つまり仁とは私情や私欲に打ち勝ち、礼儀に適った行いをすることであり、行為の確立や道徳法則等、様々な意味が含まれています。このことから、孔子とカントの思想に一致性があると考えられます。賢人たちは、自然の法則に縛られず道徳法則に従って行為することを何よりも重視していたことが分かりました。そして人間は確かに他の動物と異なり、特殊な存在者ということも明らかになりました。その特殊性とは、人間は道徳的な行為を実践し、道徳的な生活を送ることができることです。ただそれだけの理由で、人間は尊重されるべきだと私も考えております。

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「児童養護施設巣立ち応援活動 ご報告」

9月30日卓話要旨
NPO法人プラネットカナール理事長 鈴木 邦明 氏
会社員・モデル    田中 麗華 氏

(金井一成会員紹介)                                  

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   私たちの活動は8年目となり、個人会員が約160名、応援している施設は19施設になりました。現在児童養護施設は全国に600、東京都に58あります。その中で親のいない子は6%で、60%以上は虐待されていた子供たちです。児童相談所への相談件数が近年増えていますが、実際に児童養護施設や乳児院に保護される子供は一握りで、あとは家庭に帰されています。彼らの高校卒業後の進学率は約3割とかなり低いですが、これでも奨学金や学費免除などが整備されここ数年で上がってきています。施設から18歳で巣立つ子供たち、不安は大きく精神的にも経済的にも大変な巣立ちです。多くの子供たちが繊細な親子の問題を抱えています。
私たちは心の領域には中途半端には立ち入れません。出来る事は非常に限られていますが、より多くの人が無理なく参加して応援出来る形という事でSUDACHI (巣立ち)プロジェクトを立ち上げました。不必要になった綺麗な家電や家具を届ける活動です。目指すのは家電や家具を集める事に時間とお金を使わず、本来の自立に必要な事に集中してほしいという事、そして日々の生活で使ってもらう事で沢山の人が応援している事を思い出してほしいという思いで活動しています。
集めている寄贈品は6家電がメインで小さな家具も集めています。活動の特徴は、支援してもらう子どもたちだけでなく、支援者、寄贈者の方からも「ありがとう」と言われる事で、活動を持続しやすくしているのだと思います。東京都からの助成金でバンを購入する事が出来て、引き取りに大活躍しています。保管は空き工場跡、空き家、空き部屋等をお借りしています。贈呈式では若者に一言もらうのですが、たくさんの人が応援しているというメッセージが伝わっているのを感じます。
ボランティア活動にも様々な作業があります。東京神田RCの皆様にもたくさんの寄贈やボランティアへのご参加を頂き本当にありがとうございます。色々な方にお手伝い頂いて成り立っている活動です。最近若者のボランティアが増え、活動を通して学び感じる事があるようです。まだこの支援を受けられていない子どもたちがたくさんいるので、その格差を少しでも減らしたいです。全国に仲間を増やして子ども食堂のように広めていければと思っています。
最後にお願いですが、来年に向けて特に冷蔵庫・洗濯機が不足しています。ぜひ寄贈頂ければと思います。保管場所は常に探しています。そして、我々のように20施設位になると経費がそれなりにかかります。全国に広めるにもお金がかかります。ぜひ少しでもご寄付頂ければ嬉しいです。贈呈式で大きな不安を吐露する子どもたちがいます。そんな不安な顔が一瞬微笑む、その瞬間をイメージしながら一緒に活動出来る日を楽しみにしています。続いて、児童養護施設を経て現在は様々な活動をしている田中麗華さんに代わります。

【田中 麗華 氏】
お久しぶりです、田中です。今も変わらず大宮東ローターアクトクラブの会員として活動を続ける他、現在は複数の団体で運営に携わっています。一つは子どもたちの進学を後押しする為の団体、(一社)ゆめさぽ 代表理事。これまでの個人の活動を法人化した(一社)たすけあい 代表理事。そして、引き続きプラネットカナールの広報担当です。来年4月発足のこども家庭庁には、社会的養護の子どもたちへの支援も含まれます。私も国や都の会議に参加し当事者として仕組み作りもお手伝いしています。昨年12月にはこれまでの経験をまとめた本も発売し、当時大臣だった野田聖子さんとNHK日曜討論で共演しました。その反響は大きく、今でも取材等頂いています。本当に様々な機会を頂けるのは私一人の力ではなく、いつも支えてくれる皆さんの存在があってこそだと思っています。
 私がプラネットカナールに携わる主な理由は三つ。贈呈品を届けるまでにたくさんの人が関わっている事、子どもたちにどっぷり寄り添うのではなく見守っている大人がいるという距離感が絶妙である事、若いボランティアメンバーがいる事です。色々な意見はあってもやはり同年代に応援されるのは嬉しい事です。「Moment of Smile」知らない人に応援されて恥ずかしくもありますが、自分を見守り応援してくれる大人の存在を知り、嬉しくなって微笑む。そんな瞬間をこれからも引き続き応援して頂けたら嬉しいです。

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