« 「歴史人口学からみる新型コロナ感染症」 | トップページ

2022年12月13日 (火)

「コロナ禍でどう変わった?最新の税務調査の動向」

11月25日卓話要旨
髙柳 憲嗣会員
(税理士法人髙柳総合会計事務所 代表社員)

2022122

   税理士法人髙柳総合会計事務所で所長税理士をしております。私で3代目になりますが、8年前に父が65歳で急逝した際も東京神田RCの皆様にはお世話になりまして、この場を借りて改めて御礼申し上げます。
仕事柄、税務調査に立ち合うことが多いので、この2~3年のコロナ禍における調査の変化を中心に、会社を経営されている皆様のヒントになるお話ができればと思います。
はじめに、データから最新の税務調査の動向を読み解いてみます。新型コロナウイルス感染症の影響で、税務調査の実地調査件数は令和元年から2年間で約1/3と軒並み減少しています。税理士としても2年程前から急激に減ったと感じています。実地調査が行えない代わりに書面での調査が多くなったことや、初めて確定申告の期限が1か月延長されたこと等、コロナの影響を大きく感じております。
また最近特に確認をされることが多いのが、所得税に関係する財産債務調書についてです。資産総額3億円以上を保有し、年間所得が2千万円を超える方は、自らの財産と債務を税務署に届け出る義務があります。その調書の提出を求められるケースがここ2か月程で増えています。さらに、最近の傾向として、効果的・効率的な調査を行う為に、不正がありそうなところをデータで絞り込み無駄なく適正に調査をしていく流れがあります。
最新のトピックスとして、1つ目は消費税還付申告法人による消費税の不正還付です。国庫の詐取ともいえる悪質性が高い行為であると非常に問題視されています。主な調査事例としては、輸出に関する虚偽の書類を作成し、架空の輸出売上(免税取引)と国内仕入を計上するというケースです。2つ目はグローバル化により海外との取引が増えている法人が多いこともあり、海外取引に係る源泉徴収漏れに関する調査が大変多く見受けられます。例えば、日本に半年以上住んでいない非居住者等に支払った給与等や、不動産譲渡(外国の方に日本の不動産を売却した事例が多い)にも源泉徴収の義務があります。3つ目は無申告法人です。申告をしていない法人に対して積極的に調査を実施することは当然のことですが、無申告をどのように探しているかというと、やはりインターネットです。例えば飲食店等の場合、SNS等の口コミで話題になっているのに申告されていないお店には実際に踏み込むというケースが見られます。
さて、コロナ禍における税務調査の実態ですが、接触日数と時間を減らす為、税務署側が人員を増やして短期間で行うケースがありました。また、従来は調査官が会社に来て紙の資料見るという方法でしたが、最近は税務署から先にこのようなデータを用意して欲しいと連絡が入り、提出したデータを署内で分析・統計することにより効率的に調査を行う流れとなっています。提出するのは、総勘定元帳や1年分の請求書のデータ等が主なものです。実際にデータを細かく分析し、膨大な量の質問事項に答えなければならないケースがあり、納税者にとっても大変負担の大きな調査もありました。  既に大法人や上場企業では実地ではなくリモートによる調査が行われており、今後電子帳簿保存法という制度も始まります。
この制度により様々なデータを会社は整理して保存をしておかなくてはならないので、これは今後の税務調査手続きを簡便にする為の制度という印象を持っています。では、どのような対策をしたらいいのかですが、データの提出は今の段階では強制ではないので、納税者側である程度情報を取捨選択して、まずは最低限求められる資料を提出し、後は必要な都度提出するのが効率的な進め方だと思います。納税者と税務署では目線が違う為、我々のような代理人をうまく利用して頂き、納める側とそれを調査する側の立場を丁度良くまとめる役割を担うことができるのでお勧めです。最後に、無予告調査があります。通常、代理人がいる場合には調査の前に必ず通知をしなければならないルールがあります。実際のケースは朝9時、急に税務署が全支店に同時に調査に来たというものでした。調査対象は飲食店だけに限らず中々予測は出来ません。ポイントは、代理人が現場に到着するまで待ってもらうこと。税務署を中に入れると自動的に調査が始まってしまうので、必ず我々が到着するまで待つように伝えること、そうずれば勝手に入ることは出来ません。以上、皆様の会社経営の中でお役に立てましたら光栄です。

|

« 「歴史人口学からみる新型コロナ感染症」 | トップページ